10.原状回復費用の豆知識

”原状回復”という言葉の意味合いは、大家さんによっても不動産会社によっても少しずつ異なる規定が設けられています。
ここでは、原状回復について、どういった種類の言葉なのかを簡単に解説しています。
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原状回復とは?
●きれいなお部屋に入居できるように
入居した時のお部屋はクリーニングされていて気持ちよく住める環境だったと思います。
それは、前住居人と大家さんが修復費用を出し合い、お部屋を修復しクリーニングしたからです。
●あなたが退去する際にも同様に、部屋をきれいにする義務があります。
あなたが退去する際には同じように部屋をきれいにし、次の入居者が気持ちよく住めるようにふすまや、クロス(壁紙)などを修復しなければなりません。その修復費用のことを「原状回復費用(げんじょうかいふくひよう)」と言います。
●原状回復は法律なの?
賃借人は、明け渡しに際し、賃貸家屋を原状に回復させなければなりません。
(原状回復義務、民法616条による同法597条1項・598条の準用)
●契約書に記載されている「原状回復」の意味合いは?
契約書に記載されている「原状回復」とは 完全に入居時の状態に戻すこと(例えば新築入居したら、新築時の状態にリフォームして退去するなど)を意味するのではありません。
●修復費用を全部負担するの?
賃貸借契約の目的から「原状」に回復する義務には、あなたが入居中に、自然磨耗でできた汚れなど、賃借物の自然、または使用収益の正常な過程において発生した損耗、摩耗、増減等は含まれないとされています。
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられる毀損(きそん)の修繕等の費用は、原状回復義務に含まれず、賃借人の負担とはならないとされていますが、契約や不動産会社によってどこまで自然磨耗なのかを定める規定は一概に言えません。
●壁や、床をはがして改造した場合
明らかに入居者の故意で破損させた場合は全額負担しなければならないでしょう。
あくまでも、賃借人の保管義務違反(民法616条による同法601条の準用)等、その責めに帰すべき事由によって加えた毀損(汚損)について原状に復せしむ義務ということになります(東京高裁昭31年8月31日刊タ62号70頁)
●ふすまを破ってしまった場合
賃借人の、住まい方や使い方で、発生したり発生しなかったりする殴損等(通常の使用収益以外の住まい方等により発生した毀損)については、原状回復費用が、賃借人の負担とされます。
その費用は敷金の返還の際に敷金より減額されることになります。
●新賃貸人の為に部屋をリフォームする場合の費用は
賃借人の負担となる破損や、修理個所の場合であっても、新賃貸人のために、明渡し時に想定される原状回復の状態よりもグレード・アップする部分については、賃借人の負担とはなりません。
修繕費用の目安
発注先のクリーニング会社によっても値段設定は様々です。一般的な料金の目安とお考え下さい。※東京の不動産会社に聞きました。
壁クロスの張替え 1m2あたり1,000円前後
木材(柱・フローリング)傷の穴埋めや修繕 1個所あたり4,000円前後(パテで埋めて塗料)
畳の交換 1枚あたり5,500円前後
カーペットの張替え 1m2あたり4,500円前後
部屋全体のクリーニング 1R・1Kで3万円前後、2DKで4万前後
※部屋の広さや材質によって費用が違います。
経年による負担割合の目安

住んだ年数に比例して、原状回復への負担割合は変わっていきます。
耐久性や、日常での自然磨耗・経年変化などを基準に、負担割合が決まります。
下記の表は目安としてご考慮下さい。

※左の「パーセンテージ」は、入居者の負担割合を示しています。
下の「1.2.3・・・」は居住年数を表し、赤い斜線はあなたが負担する割合を指します。
例えば、2年で退去した場合、「経過年数」の「2」の線上にある赤い斜線を見ると およそ70パーセントくらいの負担割合を示しています。あなたが負担する費用は70パ-セントということになります。
5年以上住めば退去時に負担する費用は20パーセントになる計算ですが、すべてにおいてこの限りではありません。
※左の「パーセンテージ」は、入居者の負担割合を示しています。
下の「1.2.3・・・」は居住年数を表し、赤い斜線はあなたが負担する割合を指します。
例えば、4年で退去した場合、「経過年数」の「4」の線上にある赤い斜線を見ると およそ60パ-セントくらいの負担割合を示しています。あなたが負担する費用は60パーセントということになります。
8年以上住めば退去時に負担する費用は20パーセントになる計算ですが、すべてにおいてこの限りではありません。
※左の「パーセンテージ」は、入居者の負担割合を示しています。
下の「1.2.3・・・」は居住年数を表し、赤い斜線はあなたが負担する割合を指します。
例えば、4年で退去した場合、「経過年数」の「4」の線上にある赤い斜線を見ると およそ50パーセントくらいの負担割合を示しています。あなたが負担する費用は50パ-セントということになります。
6年以上住めば退去時に負担する費用は20パーセントになる計算ですが、すべてにおいてこの限りではありません。

注)次のものは契約書によっては「経年変化・自然磨耗」に含まれません。

  • タバコのヤニによるクロス等の変化
  • 落書き、釘穴、ネジ穴、ぶつけ痕、引っかき傷、など
  • 電気焼け(冷蔵庫の後ろの壁紙など)
  • クロス等のカビ
  • 重量物の設置による床材のへこみ
  • 換気扇の油汚れや、コンロ部分の油はね など
敷金が多く戻ってくる住み方って?

借り主には「善管注意義務」があります。借り物の部屋なので大切に住むように心がけてください。
ここでは日常気をつけて頂きたい点等を紹介しています。

●窓
意外に多い結露の影響で、カビが発生します。カビは放っておくと畳や柱などにも移ってしまう可能性があるので早めに対処しましょう。
※結露については 入居してからの注意 で解説しています
●収納
収納個所に、物を詰めすぎてしまう事がありますが、こまめに換気をしましょう。ドアやふすまを開け、空気の入れ替えをすることによって湿気やカビを防ぐことが出来ます。
また、物を詰めすぎないことも大切ですが、スノコを敷き風通しを良くしたり、除湿剤を置き、湿気を取ることも大切です。
※特に北側にある収納スペースは、注意しても湿気がたまりやすいので気をつけて下さい。
●畳
畳は日焼けに弱いものです。カーテンなどを利用し、直射日光に多く当てないようにしましょう。自然による劣化は通常、大家さんの負担となりますが、タンスなど物を置いていて、まだらに日焼けしたり、重みでへこんだり破れたりした場合は、借主の負担になる場合もあります。
●カーペット
毛足の長いものでも短いタイプでも、家具等でへこみが生じます。また食べこぼしや、飲み物をこぼした場合も染みになる前に、中性洗剤などで早めに対処しましょう。
●壁
家具やポスター、絵画などを長い期間同じ場所に置くと、日焼けし、壁紙が色むらになってしまう事があります。また、家具の塗料が壁に付着することもあります。家具を置くときには、壁から少し離して設置する方が良いでしょう。ポスターや絵画、写真なども、同じ場所に貼らないで、定期的に移動させるようにしてください。
●フロ-リング
家具や椅子を移動した際に傷になることがあります。柱や、フローリング等の木の傷は修復費が高いことが多いです。重いテーブルや、頻繁に動かす家具には、フェルトや革や、カグスベールなどを当てて傷をつけないようにしましょう。また、ワックス等をかけると傷も防止でき、保護コートにもなります。
●玄関・玄関収納
玄関部分は湿気がこもることが多いです。定期的に窓を開け、換気をしてください。
また、玄関に多い汚れが靴墨などです。靴墨を使用する時は必ず新聞紙を敷いて、塗料がつかないようにしましょう。
●防水バン
カビや水垢、周りの壁に水がはねて、床剤が痛まないようにカラ拭きもこまめにしましょう。また、カビ防止剤や乾燥剤を利用し、湿気からカビにならないようにしましょう。
●バスルーム、脱衣所、洗面所
湿気がこもりやすい場所なので定期的に換気をしましょう。 入浴後は最低30分は換気扇を回しましょう。湿気でカビが生えやすいので、タイルや浴槽内の水垢の掃除をし、足拭きマットも乾いたものを置きましょう。
●トイレ
水垢や、カビ、湿気、悪臭がこもりやすいので、換気と掃除を欠かさないようにしましょう。
●冷蔵庫
冷蔵庫の背面の壁が黒ずみやすいので、壁から離して設置しましょう。
壁との間に仕切りをつけたりし、壁を汚さない工夫をしましょう。また、壁が汚れてしまった際には拭き掃除ではなかなか取れません。これは冷蔵庫の静電気でホコリが集まり、モーターの熱風でホコリが壁に押し付けられて発生する黒ずみ汚れです。
●台所
コンロや、換気扇、シンク下収納などの湿気、油汚れがあれば早めに清掃しましょう。油汚れはひどくなると落ちにくくなるので注意が必要です。
●台所
引越しの際に出来る限り荷物を残さないようにご自分で処分しましょう。
家具やイス、机などを置いて引越しされる場合がありますが、不動産会社では処分するのに業者へ依頼します。その際には高額な産業廃棄物処理費用が発生し、その処理費用は原状回復費用から差し引かれます。
*どうしても捨てられないものは、出来るだけ清掃局への申込による粗大ごみで処理しましょう。
業者よりも処理費用が安いケースが多いです。
  • 契約書に原状回復の決まり (例えば「原状回復費用は敷金の1ヶ月分で充当します」など) が記載されている場合は、その規定どおりになります。
  • また、ここに掲載してある事柄は、あくまでも目安ですので必ずしもこの通りではありません。
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